コードノート

コードノートはwebを中心にテクノロジー・クリエイティブを伝えるWebメディアです。コードリンク代表、片岡亮が執筆しています。

これからのインターネットを考える

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最近「これからどんな仕事やっていきたいの?」と聞かれた時に、「まずwebに骨を埋める覚悟を決めるか考えてる」みたいなことを言っているですが、何いってんだコイツという顔をされるので、その辺をまとめていければと思います。

ここで言う「web」というのは、http://とアドレスを入力したり、iPhoneでアプリを立ち上げたりする、ディスプレイという画面の中にある世界の話だと捕らえてもらえれば良いでしょう。

これまでITやインターネットと呼ばれるテクノロジーは、多くの場合このwebの世界で使われてきました。

しかし、これから先の未来、新しく登場していくテクノロジーの多くはwebでなく、現実世界に対して大きなインパクトを与えていくのだろうな、という感覚があるのです。

それに伴い「インターネット」という言葉の捕らわれ方も変化してくると思います。もちろん重要度が下がるということではなく、2020年に実用化を目指す5Gの登場などに伴い、よりますます世界の中で重要なテクノロジーとなっていくのでしょう。

ただこれまでと違って、インターネット凄い!好き!みたいな扱いでなく、これからの新しいテクノロジーの基盤としての存在になっていくと思います。

それこそインターネットは現代で言う電気のような扱いになっていくのかもしれません。例えば、電気を使って仕事してます!とか、子供の頃から電気使っていてずっと電気に関わる仕事したいと思ってました!なんて言葉に僕達は違和感を感じますよね。

いや、どんな仕事でも大抵電気は使うし、電気を生活で使うのは当たり前でしょって。この「電気」という言葉を「インターネット」に置き換えたような世界になっていくのだろうなという感覚です。

ここまでの話をざっくりまとめると、インターネット=webでなく、インターネット>webの世界にもう移行しているんだなということです。

インターネットが現在世界に溶けていく

もう少しこの話を掘り進めていこうと思うのですが、まずこれまでインターネットを使った仕事というと、現実でやっていたことをwebで出来るよう変換していくことを指すことがほとんどでした。

例えばネットショッピングというのは、今まで現実で店舗を構えて販売していた商品をネットで販売することでしたし、音楽配信もCDで買っていた音楽をネットで聴けるようにすることでした。

SNSであれば、友達と現実で合わなくとも交流しよう、というものです。電子書籍はもちろんブログも、活字を紙を使わないで届けようとするものです。

現実社会で出来たことをどうやってディプレスの中で情報化して発信し、付加価値を付けたりコストを下げたり、という挑戦だったわけです。ざっくりまとめれば現実をインターネット化させてきたと言っても良いでしょう。

しかし、今新しい技術を見ていると、これまでとは逆にインターネットを現実化させているように感じられます。

例えば、お金がインターネットに置き換わるのが暗号通貨で、空間がインターネットに置き換わるのがVRやARで、人間がインターネットに置き換わるのがAIみたいな感覚です。(理論としてはガバガバなこと言ってるのでニュアンスだけ理解してもらえればと。)

別に今後新しい技術はもう今後webの世界を変えないと言っているわけではないのですが、新しい技術は画面の中でなく、画面の外である現実を豊かにしたがっていると思うのです。

もちろんwebの世界でもAIは活用されて、いままで出来なかったことができるようになっていくとは思います。しかし例えばamazonがおすすめしてくる商品の精度が上がるインパクトと、AI&ロボット技術で農業の生産性が上がること、どちらが世の中にインパクトを与えるのでしょうか、ということです。

正直新しい技術を、webで商品の購買率上げたり広告のクリック率上げることに使う暇があれば、農業・食・自動運転・医療・介護などなど、現実を便利にいくテクノロジーとして活用してくれよって単純に思うんですよね。

webで情報流通はとても変わり良い世の中になったと思っているけれど、もうそこに新しい技術を回すターンは終了していて、現実面に生かす次のターンがやってきているなと感じているのです。

変化するwebの立ち位置

まとめていくと今、「インターネット」というと二つの文脈が混雑しているように感じています。

  • インターネット = web時代の、情報発信・SNSみたいな文脈。
  • インターネット>web時代の、社会のシステム(医療だとか食とかお金だとか)を変革させる基盤となる文脈

正直前者の「インターネット=web」みたいな文脈の中でできることは2周も3周もしていて、その結果やることがなくなり大企業すらキュレーションメディアのようなただのデカいブログを作るようなことをしているわけです。

でもこれまで前者の文脈で生きてきたこれまでの「ネット業界」の人達がどこまで後者の社会に役立てるのかというと中々に疑問ですし、後者の領域はまだまだ発展途上でお金はたくさんかかるし、いつそれが回収できるかもわかりません。

ただ元々「ネットベンチャー」というのは、そういった領域に挑戦する会社を指すわけで、もうwebサービス作ってますとかアプリ作ってますみたいな会社はベンチャーでも何でもないなって思っています。

それは別にwebが悪ということでなく、もう一昔前のものになってきているというだけの話です。

そんな前提の中、「インターネットが好き。」という気持ちでネット業界に入ってきた僕らは、どちらの文脈の上で生きていくかを意識しようがしまいが選択している時代なのはないでしょうか。

インターネットは広大すぎるぜ。