コードノート

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今さらクラロワをプレイしながら、RTSゲームの進化に思いを馳せる。

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心はいつまでもゲーム大好き少年なもので、その魂があふれ出ているためかよく「今ゲーム何やってるんですか?」と聞かれる僕です、こんにちは。

中学生の時、初めてサイトを作ったのは、AoE(Age of Empires)というPCゲームのIP対戦相手募集掲示板サイトでしたし、なんだかんだゲームは自分のルーツの一つだと思っています。

けれど、いざゲームをやってしまうとのめり込んでしまい、仕事に支障が出るので据え置き機ゲームやPCゲームをやることを今は封印しているんですよね。その中でスマホゲーだけ例外としてたびたび息抜きにやっています。

パズドラも2年ぐらいはやったし、ハースストーンというスマホでのMTGのようなカードゲームもそこそこやりました。闘技場でMAX10勝するぐらい。

そんな中、最近個人的にヒットゲームが無かったんですが、2ch創始者で現4chan管理人で5chとは関係がない西村ひろゆきさんが「クラッシュ・ロワイヤル(通称クラロワ)」にハマっているようなツイートをしていたので、僕も始めてみました。

ひろゆきさんのやってるスマホゲー、ハズレが無くて良いんですよね。

クラロワの開発元、Supercellのゲームは広告もガンガン打たれているので目にする人も多いと思うのですが、広告が展開されまくってるゲームって逆にスルーしたくなってしまいますよね、なんだか。

そんなかんじで、同社のクラクラは軽くプレイしたことがあったのですが、クラロワはスルーしてしまっており、こんな楽しいならもっと早くやるんだったー!と後悔しているところです。

そんなわけで、クラロワが話題になっていたのは1年2年前でしょうし、色々言及されまくっているだろうけど今さらながら紹介していきます。ちなみにまだ始めて5日でアリーナ5になったばかりのニワカです。生暖かく読んでいただければこれ幸い。

縦ゲームなのにゲーム性が高い

クラロワのゲームジャンルは、オンラインRTS風カードゲームといったところです。

これまでスマホでもRTSゲームは多数リリースされてきていました。同社のクラクラ、Gameloft社のヒーローズ・オブ・オーダー&カオスなど、僕も色々プレイしてきています。

そんな中、これまでのスマホRTSゲームとクラロワの最大の違いは、縦画面でプレイするゲームという点でないでしょうか。そして縦画面RTSゲームなのに面白い、というのがクラロワの強みだと思います。

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横画面ゲームって面白いのだけど、どうしても気軽さが弱くなってしまうのですよね。1回のプレイ時間も長くなりがちですし(クラロワなら、1プレイ3~4分程度)。面白いとはいえ、どうしても劣化TV・PCゲーム感も出てしまいますしね。

でも、じゃあ単純に縦にすればokというわけでもないと思います。かなり試行錯誤をして、1からゲームを組み直したのだろうなぁとプレイしていて感じます。

基本的に画面を縦にすると情報量が減るんですよね。画面サイズ時代は縦でも横でも変わりませんが、メインの操作するエリアって画面の下部だけなので、操作に使えるエリアの面積が小さくなってしまいます。

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それはすなわち、ゲーム要素を減らすことに直結します。縦画面にして気軽になっても、要素が減りつまらないゲームになってしまっては本末転倒です。

ではクラロワはどうやって、縦画面RTSゲームで面白さを作り出しているのかを考えていきたいと思います。

カードゲームによる「運」要素の追加

既存の○○ゲームジャンル+カードゲーム、というのはスマホゲームの良くあるテンプレートですね。パズルゲーム+カードゲームのパズドラ、みたいな。

今ではこのカードゲーム要素が、ユーザーの課金を煽るための手段としてだけ捕らえられることが多いですが、本来はカードゲーム要素を加えることで、小さな画面で単調になりがちなスマホゲームでも楽しめるようにしよう、というのが目的だったはずです。

そしてカードゲーム要素を加えると何が良いのかというと、それが次にどの札が来るかわからないという「運」の要素の追加です。

トランプでもなんでもカードゲームは、次に引く手札によって戦略が変わります。勝負は時の運、なんて言いますがまさに運の要素ですね。

人間この「運」の要素が入るとそれだけでゲームが楽しくなるものです。ババ抜きから運要素が無くなったらゲームですらないですから。

クラロワでは、8枚のカードで1つのデッキを組みゲームをプレイすることになります。勝つためにはやはりカードとカードの相性を考えコンボを決める必要がありますが、もちろん手札はランダムに回ってくるので、その中で戦略を考えなければいけません。

しかもRTSゲームは場面が刻一刻と変わり、じっくりと考えることはできません。

縦画面ということで大した情報量ではありませんが、瞬間的にその場その場で直感的に正しい戦略を選択する必要があります。しかも運に頼らないといけないので、それも考えながら。

そんな風に頭を高速で回しながら「次このカードがくればいける…!」と考えている時に、まさにそのカードを引くと、脳からアドレナリン的なものが出てくるのを感じます。笑

○○ジャンル+カードゲームという希有な正解例を見れて嬉しいものです。

ゲームバランスが素晴らしい

ゲームバランス、などという単語を使う時点で一般の人からすればヲタク扱いされるのは知っているのですが、それでもやっぱりゲームバランスは重要です。

課金してこのキャラを持てば勝てる!というゲームも、プレイヤースキルだけで勝負が決まるゲームも、運頼り過ぎるゲームも面白くありません。

スマホゲームは数多く出ていますが、コンセプト自体は良いのだけど、ゲームバランスが微妙でユーザーが文句言ってるところに、運営が加えるのはゲームバランスの調整でなく、ユーザーが求めていない要素の追加ばかりで気がついたらサービス終了、なんてのはよくある話です。

会議の場で、ユーザーの継続率が悪いという議題が出た際、「ゲームバランスを調整します!」と言うより「新要素を追加します!」って言う方がエラい人への稟議通りそうなのはなんだかわかるんですけどね。

完璧なゲームバランスなんてものは存在しえないのですが、スマホゲームで目指すゲームバランスというのは、例えば以下のようなとこでないでしょうか。

  • 実力で、格上のカードを持っている相手にも勝てる
  • でもホントに格上のカードを持っている人には実力で勝てない(課金で実力を買える)
  • このカード or デッキさえ持っていれば勝てる、という状況を作らない。

商売なので最終的には課金を促すわけですが、それでも課金で手にしたカードを使いこなせるかどうかは、あなたの腕しだいですよ、という環境作りが大切です。

さらに、このカードさえあれば勝てる!という最強カードを作らないことは、ゲームバランスを考える上でも、ユーザーの継続率を考える上でもとても重要になります。

日本のスマホゲーだと最強カードが作られがちで、「この新イベントはこの新カードがないと実質クリア不可能です。ガチャ引いてね。」というのをイベントごとに繰り返しがちなところがあって、別に暇つぶしとしては良いんだけれど「ゲーム」としてはなんだかなぁと思ったりします。

そんな課金面を除いても、最強カードがあるとみんな同じデッキになってくるんですよね。そうすると色々なデッキを試行錯誤する、ということをユーザーがしなくなってしまいます。

結果、ユーザーはすぐに飽きてしまいます。これは大問題。

各カードの性能がバランスよくなっているからこそ、色々な組み合わせを楽しむことができ、それがゲームを長く楽しむことに繋がるんですよね。

それこそクラロワは縦画面ゲームということで、色々単調になりがちなところに「このデッキ飽きてきたし、別の組み合わせ試すか。」できるのはとても良いです。

…とか書いていたら、クラロワの開発者の方がゲームバランスについて語っていた講演の記事があったので、この辺見た方が良いですね。ゲームバランスのポイントは“楽しさ”、“多様性”、“新鮮さ”らしいです。

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www.4gamer.net

app.famitsu.com

プレイ時間の程よい制約

スマホゲームの多くは「スタミナ」という要素を組み込んでいます。

そのスタミナの分だけゲームがプレイできて、スタミナが回復するのは30分に1つでそれ以上プレイしたければ課金してくださいねー、というアレです。

スタミナシステムのおかげでゲームのやり過ぎを防げたり、暇人がとにかくゲームを進めることを防ぎ、プレイヤー同士の格差が広がりづらいのは良いことです。

でもやっぱり、スタミナなんて関係なく好きなだけゲームをしたいものですよね。

クラロワはその辺もうまく出来ており、スタミナシステムは採用されておらず好きなだけゲームをプレイすることができます。海外系のゲームは基本スタミナシステム採用してないので当たり前っちゃ当たり前なんでしょうけど。

しかし、ゲームをどれだけプレイしても新しい強いカードが手に入る、みたいなことはありません。ただプレイできるだけですね。

新しいカードをゲットできるようなイベントは、数時間置きに発生されるようになっていて、それがある意味スタミナシステム的な役割を果たしています。

最低現1日これぐらいやればカードを集めるイベントは消化できるし、それ以上もやりたいければご自由にどうぞ、というほど良い設計です。

日本のスマホゲーはゲーマー向けに作られていないですが、海外のものはライト層もゲーマー層も楽しめる様な設定になっているのがとても好きなポイントだったりします。

儲かるからスマホゲーム作ってるってより先に、ゲーム作るのが好きだからゲーム作ってるって気配が感じられるのが良いですよね。勝手なイメージなんですけど。

RTSの進化の歴史はシンプル化の歴史

そんなかんじで、クラロワはスマホに合わせて、ゲームシステムをシンプルにしながらも、運やゲームバランスの調整で面白さを作っている、と書いてきたわけですが、これもまたRTSゲームの進化の一つの形だなと感じています。

それこそ最初に書いたとおり、僕は中学生時代から間は空きつつ約15年RTSゲームに触れてきたわけですが、RTSゲームの進化って基本的にシンプル化していく流れだと思うのですよね。

この手のゲームは昔の方が、複雑でかつプレイヤースキルが求められたのです。

僕が最初やっていたころのRTSゲームというと、ただ戦うだけのものではありませんでした。戦争シミュレーション的な要素が強く、内政(金や石、木などの採取)をし、その資源を元に文明を進化させると同時に軍事力を高め、そしてやっと戦闘をしていくという流れです。

戦闘もPCゲームだったためショートカットキーを駆使しまくり、如何にマウスを正確に90度に移動させることができるか、という世界で、しかも1ゲーム時間は1時間(設定によってはもっと)、みたいな過酷さです。集中しつづけながら桃鉄をしているようなものでした。笑

僕も大した腕ではないですが、一ゲーマーとしてその方が面白いと思います。ただ如何せん裾野が狭いです。

実際RTSゲームは時代と共にライトにするため、内政要素を抑え、戦闘だけを楽しむことを主流としていきました。シンプル化はRTSゲームの進化の歴史なのです(たぶん)。

なので、スマホになってさらにシンプルになったのを、女子供に媚びてるみたいに捕らえるのは間違いだと思っていて、あの頃ゲームオタクしかやらなかったゲームジャンルが、多くの人が楽しむものにいつの間にか変わっていたのはとても嬉しいんですよね。ポケモンGO並の収益て。

スマホゲームの台頭で、これまでのゲームが衰退していく!なんて言われる昨今ですが、こんな形で良い継承が行われている例もあるのだと感じられ、素敵だなと思うのでした。

というわけでぜひあなたもクラロワをLet's play!

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